Entries from 2017-01-01 to 1 year

「いえ」

母はしきりに学級生活について尋ねた。友人は出来たか、勉強にはついていけているか、良い先生はいるのか、体の調子が許せば体育の授業にも参加し始めてはどうか。 田舎町で唯一市の進学校に入学した我が子が愛おしく誇らしいらしく、満面の笑みを浮かべなが…

地平線

私は同窓の者と相対するときに図らずも何がしかのどもりが出てしまい、はじめは面白がる奴もいたが徐々に遠巻きにされるようになった。あいつはおつむは悪くないが関わってもいいことはない、そもじれったくて、煩わしくて、見ていられないといった風に。 一…

学期始め

それから私の高校生活は始まった。 相変わらず私には社交性というか人間性が欠如しているようで、なかなか同級の秀才達とは馴染めなかった。自宅から校舎までの通学にかなりの時間を要するため、文武両道を掲げる母校において珍しく何の部活動にも所属しない…